おばあちゃんの洗い物を見てるネコ
通勤で私は結構歩く。
歩くのは街中ではなく、下町の住宅街。本当に下町っぽく、築40年レベルの家がびっしりと並んでいて、道も細めだったりする。
ご近所付き合いが生きていそうな空気感だ。
ある日、時間は8時前あたり、私が通勤で歩いていると、先の方で細い道に水しぶきがあがっていた。
おばあちゃんがスプレーノズルのホースで何かを洗っているように見えた。
その距離は100メートル先。細い道なので私が通るときも水を噴射されつづけたら、水がかかりそうだ・・・なんて、面倒に思っていた。
徐々に近づく。
おばあちゃんが洗っていたものは、風呂のフタだった。風呂のフタを地面に置いて、それに高圧の水をズバババッ!と当てている。
そして、なぜかそのすぐ横にネコが居て、その様子をジッと見ている。
水がギリギリかからない距離で座って見ているのだ。
それも微動だにせず、水の噴射と風呂のフタを見続けている。
私が来たことに気が付いたおばあちゃんは一旦噴射を止める。懸念していた、水がかかる状態は収まり少し安心した。
水が止まると猫は、おばあちゃんと同時にこっちを見た。
猫「なに噴射止めてくれんねん」
という顔に見えた。
何か良くわからないが、猫が居る生活はいいだろうなと思ってしまった。
風呂のフタを洗うだけでも、猫が横で見てるのと、ただ一人で洗うのでは何か違う気がするのだ。
朝から少し和んだが、やっぱり会社に行きたくないのは変わらない。
会社が近づくにつれて、絶望感が押し寄せるのだった・・・
以上