地震が起きたときの購買部門の対応は
私は購買の仕事をしている。会社が製品に作るための原材料を「安く」「必要なときに」「必要な量だけ」「安定した品質で」納入するという仕事だ。
色んなことを購買はしなければならないが、使命のもっとも大きなところは「安定調達」だ。
工場では、いつなにを作るかの生産計画が立てられている。それは客先の納期に合わせて綿密に組まれている。
だから、それに間に合うように材料が入らないと、工場は必要に応じた製品を作ることが出来なくなる。
客先への納期も遅れ・・・客先のラインが止まろうものなら、損害賠償を請求される可能性もある。客先からの信頼も薄れるだろう。自動車向けの材料の納期が遅れでもしたら億単位の賠償でも請求されるんじゃないかと思ってしまう。
だから「納期通りに材料を納入するのは絶対である」と口を酸っぱく工場からは言われる。
そのため、昨日の群馬での震度5弱地震や、今日の大阪の震度6弱地震があると、「即影響確認」をしなければならない。
震度5弱レベルの地震があったニュースを見たら、その地域に工場がある製造メーカーをピックアップする。
今回は群馬と大阪だ。
ピックアップと言っても、私のいる課はまともなデータベースみたいなものが存在していないので、取引先名を見ながら「ここは大阪に拠点があった気がする!」という作業をするだけだ。
当然漏れも出る。沢山ね。
そしてそれらメーカーに「今の工場や倉庫の状況と弊社納入品への影響を教えてください」とメールをしまくるのだ。
大阪の場合、8時ころに地震があり、8時45分には私から「オシエテオシエテ」の連絡が入っている形だ。
そのあとは確認が取れるまで電話しまくるのだ。
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私はこの業務が非常に嫌いだ。最高に嫌いである。
震度6弱の地震を受けたメーカーに対して、朝一で状況!状況!と電話攻勢するのは失礼と思えてならない。
おそらく地震が起きたら、こういう確認をするメーカーは多いと思う。
摂津や交野、東大阪市など、震度大き目のところで被災したメーカーは電話が鳴り止まないことだろう。
しかし、我が社の社内は空気は・・・・「他社よりも先になにがなんでも状況確認」という感じ。自分たちだけ良ければよいという思考になっている。
被災メーカーのことなんてなんにも考えていない。
ちなみに私が行っているのは、「私が直接購入しているメーカーへの確認」だ。
つまり、そのメーカーはさらに色んな原材料メーカーから物を購入して製品を製造しているのだが、その原材料メーカーに何かがあったら、うちの会社向けの納期は遅れる。
そこまでのことは当日に判ることが少ない。数日経って判明する事実だ。
なのに、なんでこんなことになっているか、というと私の会社も客先に「現時点の状況確認」を受けているからだ。
購買の基本として、被災=現時点の状況確認をすること、というのが、テキスト化されているのだ。これは基本中の基本として、新規で購買に配属になった人向けの研修で教わる。
「なにがなんでも被災した会社の出荷状況・復旧状況を確認せよ」とね。
だから皆、とにかくメーカーに確認しまくる文化となってしまっているのだ。
在庫を極限まで削り、極限まで削った在庫の維持責任は原材料メーカーに押し付け、なにかあったら電話!電話!だ。
購買の仕事をしていると、社内から良く言われることがある。
お客様=うちの会社は相手のメーカーにとって神様なんだから、メーカーにすべて押し付けろ!と。
40代、50代、下手をすれば部長や役員がこんなレベルなのだ。
いろいろな人の言いたいことはわかるが、なんとも仕事が面白くなくなってしまうぜ・・・
以上